コーヒー豆おすすめ15選|味タイプ別・淹れ方付き

コーヒー豆選びで迷ったら、まず見るべきは「エチオピアかブラジルか」ではなく、酸味・バランス・苦味コク・甘味重視・華やかのどれが飲みたいかです。産地や精製法、焙煎度、湯温まで味づくりはつながっているので、味タイプから逆算すると、初めてでも狙いを外しにくくなります。
この記事では、5つの味タイプを入口に、代表産地と精製の違い、具体的に選びやすいおすすめ15豆、さらに家で再現しやすい淹れ方まで一直線で案内します。筆者の経験では、あるロットのイルガチェフェで95℃から92℃に下げたところ酸の印象がやわらぎ、甘さが前に出た例がありました(個人的な感想で、ロット差や抽出条件により変わります)。
読み終えるころには、自分の好みを言葉で判定できるようになり、今日の一杯から狙った味に近づけるはずです。豆選びはセンスよりも、味の地図を一度手に入れることが近道です。
コーヒー豆は味タイプで選ぶと失敗しにくい
コーヒー豆選びで失敗しにくい順番は、売れ筋を見ることではなく、自分がどの味に惹かれるかを先に言語化することです。ランキングは人気の把握には便利ですが、同じ上位の豆でも、酸味が好きな人と苦味が好きな人では満足度がまったく変わります。そこで役立つのが、味を5つのタイプに分けて入口をそろえる考え方です。好みを決め、そこから代表産地や精製方法を絞り、相性のよい焙煎度とレシピまでつなげると、家でもかなり再現しやすくなります。
まずは5つの味タイプで地図を作る
この5分類は、産地だけで決めるよりも実用的です。というのも、豆の印象は産地だけでなく、焙煎度、挽き目、湯温でもかなり動くからです。『UCCのコーヒー豆の種類一覧』でも、産地ごとの特徴とあわせて、焙煎や抽出条件で味わいが変わることが整理されています。
酸味タイプは、レモンや青リンゴのような明るさ、後味の軽さが軸です。エチオピアのウォッシュドやタンザニア キリマンジャロ AAのように、柑橘系の酸がきれいに立つ豆が入りやすいゾーンです。浅煎りから中煎りで魅力が出やすく、湯温はやや高めのほうが輪郭が出ます。
バランスタイプは、ナッツ、キャラメル、やわらかな甘さ、軽い酸味とコクが無理なく共存するタイプです。ブラジル サントス No.2、コロンビア スプレモ、グアテマラ アンティグアあたりが代表格で、毎日飲んでも疲れにくい味が多いです。中煎りとの相性がよく、初心者が基準の一杯を作るのにも向いています。
苦味・コクタイプは、ダークチョコ、ローストナッツ、スパイス感、しっかりした余韻が中心です。インドネシアのマンデリンや深煎りブラジル、アジア系の深煎りブレンドに多く、ミルクを入れても味がぼやけにくいのが強みです。中深煎りから深煎り、湯温はやや低めにすると苦味が暴れにくくなります。
甘味重視タイプは、黒糖、ハチミツ、ブラウンシュガーのような“甘さの印象”を楽しむタイプです。ここでいう甘味は砂糖の甘さではなく、後味に残る丸みや蜜っぽさです。コスタリカのハニープロセスや、甘さを引き出した中煎りのブラジル、クリーンなコロンビアの一部が入りやすい領域です。派手ではないのに満足度が高い、という表現がしっくりきます。
華やか系(フローラル・ベリー)は、ジャスミン、ベリー、ピーチ、ライチのような香りに重心があるタイプです。エチオピア イルガチェフェ G1 ナチュラルは典型例で、イチゴジャムやブルーベリー、ハニーのような風味で語られることが多い豆です。筆者も週末にこの系統を淹れることが多いのですが、湯を落とした瞬間に立ち上がる花のような香りは、平日の定番ブレンドとは別の楽しさがあります。

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mystyle.ucc.co.jp初心者は「中煎りのバランス」から始めるとぶれにくい
最初の1袋を選ぶなら、筆者は中煎りのバランスタイプを基準に置くことを強くすすめます。理由は単純で、浅煎りほど酸の扱いが難しくなく、深煎りほど苦味が先行しにくいからです。中挽き、湯温90〜92℃前後のレンジで淹れると、味のズレが比較的小さく、抽出の練習にもなります。
この基準ができると、次の一歩が安全です。たとえばブラジル サントス No.2やコロンビア スプレモの中煎りを「ちょうどよい」と感じた人が、もう少し軽やかさを求めるなら酸味タイプへ、もう少し厚みがほしいなら苦味・コクタイプへ広げる。この隣接タイプへの移動が、失敗の少ない広げ方です。いきなり華やか系のナチュラルへ飛ぶと楽しい反面、発酵感や果実感が強く出て驚くことがありますし、逆に深煎りのマンデリンへ一気に振ると、苦味の強さばかりが印象に残ることがあります。
TIP
毎朝の定番をバランスタイプで固定し、週末だけ華やか系を開けると、味覚の軸がぶれにくいです。筆者もこの二刀流にしてから、「普段飲み」と「香りを楽しむ一杯」を無理なく両立しやすくなりました。
3問でわかる簡易自己診断
自分の好みを言葉にしにくいときは、香りの連想で分けると速いです。
- すっきりした酸が好きなら、酸味タイプ
- ナッツやキャラメルの安心感が好きなら、バランスタイプ
- ダークチョコのような力強さや、ミルクに負けない濃さがほしいなら、苦味・コクタイプ
- 黒糖やハチミツのような甘さを感じたいなら、甘味重視タイプ
- 花やベリーの香りにときめくなら、華やか系
この診断の良いところは、そのまま豆選びに直結することです。たとえば「花やベリー」と答えた人なら、エチオピア イルガチェフェ G1のウォッシュドかナチュラルを見比べればよいですし、「ナッツやキャラメル」なら、ブレンドかブラジル主体の中煎りに向かえば大きく外しません。ナチュラルは果実感と甘さが出やすく、ウォッシュドは透明感と輪郭の明瞭さが出やすいので、同じエチオピアでも入口が変わります。
味タイプごとの見取り図
1画面で把握しやすいように、味タイプごとの代表産地、焙煎度、湯温の目安を整理するとこうなります。
| 味タイプ | 主な印象 | 代表産地・代表豆 | 向く焙煎度 | 湯温目安 |
|---|---|---|---|---|
| 酸味タイプ | シトラス、青リンゴ、軽やか | エチオピア イルガチェフェ G1 ウォッシュド、タンザニア キリマンジャロ AA、コスタリカ タラス | 浅煎り〜中煎り | 92〜95℃ |
| バランスタイプ | ナッツ、キャラメル、黒糖、飲みやすさ | ブラジル サントス No.2、コロンビア スプレモ、グアテマラ アンティグア、定番ブレンド | 中煎り | 90〜92℃ |
| 苦味・コクタイプ | ダークチョコ、ローストナッツ、厚み | マンデリン、深煎りブラジル、アジア系深煎りブレンド | 中深煎り〜深煎り | 88〜90℃ |
| 甘味重視タイプ | 黒糖、ハチミツ、ブラウンシュガー | コスタリカ ハニー、ブラジルの中煎り、甘さ設計のブレンド | 中煎り〜中深煎り | 90〜92℃ |
| 華やか系(フローラル・ベリー) | ジャスミン、ベリー、ピーチ、ライチ | エチオピア イルガチェフェ G1 ナチュラル、ケニア AA、ルワンダ ウォッシュド | 浅煎り〜中煎り | 92〜95℃ |
この表はあくまで入口ですが、かなり実戦的です。たとえば同じエチオピアでも、イルガチェフェ G1 ウォッシュドならジャスミンやレモンティーのような透明感に寄り、イルガチェフェ G1 ナチュラルならイチゴジャムやブルーベリーのような完熟感に寄ります。湯温を高めに取ると華やかさが立ち、数度下げると甘さが前に出やすい。この「味タイプ→精製→レシピ」のつながりが見えると、豆選びが急に立体的になります。
ランキングを見るだけでは届かない「再現の設計」
人気順の一覧が悪いわけではありません。ただ、読者が本当にほしいのは「1位の豆」よりも、自分の好みに合う1袋を、家でもおいしく淹けることのはずです。そこで大事になるのが、好み → 味タイプ → 代表産地・精製 → 豆 → レシピというワンストップの考え方です。
たとえば「朝は重すぎず、でも薄いのは嫌」という人なら、バランスタイプの中煎りブレンドか、ブラジル サントス No.2の中煎りが軸になります。精製はブレンドかナチュラル寄り、挽き目は中挽き、湯温は90〜92℃あたりで組むと再現しやすいです。反対に「ベリー感がほしい」なら、イルガチェフェ G1 ナチュラルを浅煎り寄りで選び、やや高めの湯温で香りを取りにいく。豆名だけで終わらず、レシピまで一気につながるから失敗しにくいわけです。
この設計思想は、ブレンドとシングルオリジンの使い分けとも相性がいいです。日常使いでは味が安定しやすいブレンド、週末や気分転換では産地個性を楽しみやすいシングルオリジン。そう分けると、豆棚の中身にも意味が出てきます。100gの豆はだいたい8〜10杯分なので、香りのピークがあるうちに飲み切りやすい量としても扱いやすいです。
まず押さえたい、味を決める4要素
産地傾向の全体像
味の違いを最短でつかむなら、まずは産地の大まかな傾向を頭に入れておくと整理しやすいです。コーヒーは同じ国名でも地域やロットで印象が動きますが、入口としては役立ちます。中南米はバランス型、アフリカはフルーティで華やか、アジアは苦味とコクが出やすい、という見方です。
中南米では、ブラジル サントス No.2やコロンビア スプレモ、グアテマラ アンティグアのように、ナッツ、キャラメル、チョコレート、やわらかな酸がまとまりやすく、毎日飲みやすい味に着地しやすいです。初めての基準づくりに向くのはこのゾーンです。
アフリカ系は、エチオピア イルガチェフェ G1 ウォッシュドやケニア AA、タンザニア キリマンジャロ AAのように、シトラス、ベリー、ジャスミン、紅茶のような香りが立ちやすく、香りを楽しみたい人に刺さりやすい産地群です。とくにイルガチェフェは、同じ焙煎でも表情差がはっきり出る豆です。筆者の経験では、同じイルガチェフェでもナチュラルではベリーの甘さが長く伸び、ウォッシュドではジャスミンの香りと透明感が立ちやすいと感じることがありました(ロット差があります)。
アジア系は、インドネシアのマンデリンに代表されるように、低めの酸、厚いボディ、スパイス感、アーシーさ、深いコクが魅力です。深煎りブラジルやアジア系ブレンドもこの方向に寄りやすく、ミルクと合わせても輪郭が崩れにくいです。
味の地図として整理すると、まずは次の3つで考えると迷いにくくなります。
| タイプ | 主な産地の方向性 | 典型的な印象 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| バランス系 | 中南米 | ナッツ、キャラメル、やわらかな酸、飲みやすさ | ブラジル サントス No.2、コロンビア スプレモ、グアテマラ アンティグア |
| フルーティ系 | アフリカ | ベリー、シトラス、フローラル、紅茶感 | イルガチェフェ G1、ケニア AA、キリマンジャロ AA |
| 苦味・コク系 | アジア | ダークチョコ、スパイス、厚み、低酸 | マンデリン、深煎りブラジル、アジア系深煎りブレンド |
焙煎度8段階と味の関係
産地の個性は、焙煎度で見え方が変わります。一般的には焙煎度を8段階で整理し、浅くなるほど酸味と香りが立ちやすく、深くなるほど苦味とロースト感が前に出やすくなります。真ん中の中煎り帯は、その中間でバランスを取りやすいポジションです。
8段階は、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンと並べることが多いです。日常的な選び方としては、浅煎り・中煎り・深煎りの3つに束ねて考えると十分実用的です。浅煎りならイルガチェフェ G1 ウォッシュドやケニア AAの華やかさが出やすく、中煎りならコロンビア スプレモやグアテマラ アンティグアのまとまりが作りやすいです。深煎りではマンデリンや深煎りブラジルが得意な、ダークチョコ系の厚みが見えてきます。
抽出温度も焙煎度とセットで考えると味が整います。D.S COFFEE ROASTERの『焙煎度別おすすめ湯温』では、浅煎りは高め、深煎りは低めに寄せる考え方が整理されています。家庭では次の目安が扱いやすいです。
| 焙煎の考え方 | 味の出方 | 湯温の目安 |
|---|---|---|
| 浅煎り | 酸味、果実感、香りが立ちやすい | 92〜95℃ |
| 中煎り | 甘さ、酸味、コクのバランスを取りやすい | 90〜92℃ |
| 深煎り | 苦味、コク、ロースト感が出やすい | 88〜90℃ |
筆者の感覚では、浅煎りは高めの湯温で輪郭を出し、深煎りは少し温度を下げて苦味の角を抑えると、家庭でも狙いが定まりやすいです。たとえばイルガチェフェの浅煎りは92〜95℃帯で香りが開きやすく、深煎りブラジルは88〜90℃に置くと、重さは残しつつ雑味感が出にくくなります。

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産地と焙煎度の次に、味を大きく分けるのが精製方法です。とくに覚えておきたいのは、ナチュラルとウォッシュドの違いです。さらに、豆選びの軸としてはブレンドとシングルオリジンの違いも外せません。
ナチュラルは、果肉をつけたまま乾燥させる工程の影響で、果実感、完熟感、甘さが出やすいです。イルガチェフェ G1 ナチュラルが典型で、イチゴジャム、ブルーベリー、ハニーのような表現がしっくりくるロットに出会うことがあります。香りが開いたときの華やかさは本当に印象的で、カップに顔を近づけた瞬間に“ベリーの甘い蒸気”が立つような感覚があります。
ウォッシュドは、果肉を除去して洗浄し、クリーンに仕上げる精製です。こちらは透明感、明るい酸、輪郭の明瞭さが持ち味です。イルガチェフェ G1 ウォッシュドなら、青リンゴ、レモンティー、ジャスミンのような整った香りが出やすく、ナチュラルよりも線が細く美しい印象になりやすいです。
ブレンドは精製方法そのものではありませんが、読者が選ぶときの比較軸として並べて理解するとわかりやすいです。複数豆を組み合わせて設計するため、安定感と再現性が高く、毎日飲む一杯を作りやすいです。対してシングルオリジンは、イルガチェフェ、マンデリン、コロンビア スプレモのように、その産地やロットの個性をまっすぐ味わいやすいです。つまり、個性を楽しむならシングルオリジン、日常の安定感を重視するならブレンドという見方がしっくりきます。
違いを並べると、こう整理できます。
| 項目 | ナチュラル | ウォッシュド | ブレンド |
|---|---|---|---|
| 味の傾向 | 果実感、完熟感、甘さ | 透明感、明るい酸、輪郭の明瞭さ | 安定感、バランス |
| 向きやすい飲み方 | 香りを楽しむブラック | クリーンさを味わうブラック | 毎日の定番、ミルク使いにも合わせやすい |
| 代表例 | イルガチェフェ G1 ナチュラル | イルガチェフェ G1 ウォッシュド、キリマンジャロ AA | 店の定番ブレンド、バランス系ブレンド |
挽き目と抽出温度の基礎
同じ豆でも、挽き目と湯温でカップの印象は動きます。ここを押さえると、豆選びと淹れ方がつながります。基本はシンプルで、細かく挽くほど成分が出やすくなり、濃度や苦味が強くなりやすいです。逆に粗く挽くほどすっきり軽くなりやすいです。UCCの『コーヒー豆の正しい挽き方』でも、この考え方がわかりやすく整理されています。
初心者が基準にしやすいのは中挽きです。粗挽きは軽さを出しやすい反面、出不足になると味がぼやけますし、細挽きは濃厚さを狙える一方で過抽出になりできます。ハンドドリップなら、まず中挽きで味を見て、軽ければ少し細かく、重ければ少し粗く、という調整が再現しやすいです。
| 挽き目 | 味の傾向 | 抽出の注意点 |
|---|---|---|
| 粗挽き | すっきり、軽め | 出不足になりやすい |
| 中挽き | バランス型 | 基準にしやすい |
| 細挽き | 濃い、苦味が出やすい | 過抽出に注意 |
湯温も同じで、高いほど苦味や強い成分が出やすく、低いほど酸味寄りに見えやすいです。浅煎りのイルガチェフェ G1なら92〜95℃で香りを引き出しやすく、中煎りのコロンビア スプレモなら90〜92℃で甘さとコクをまとめやすいです。マンデリンや深煎りブラジルのような深煎り帯は88〜90℃にすると、苦味だけが前に飛び出しにくくなります。
TIP
味が薄いと感じたら、いきなり豆量を大きく動かすより、挽き目を少し細かくするほうが変化を読み取りやすいです。逆に苦味が強すぎるときは、湯温を少し下げるだけでも後味が整います。
ここまでの4要素が見えてくると、次のおすすめ15豆も「なんとなく人気だから」ではなく、どの味タイプに属し、なぜそう感じやすいのかまで立体的に読めるようになります。

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ここからは、味の方向性ごとに具体的な15豆を一気に見ていきます。各豆とも、産地名だけでなく「どんな精製で、どの焙煎で良さが出やすく、どう飲むとハマるか」までそろえておくと、豆選びが立体的になります。筆者はこの整理をしてから、通販でも店頭でも迷いにくくなりました。
酸味タイプ(明るくすっきり): 1) エチオピア イルガチェフェ G1 ウォッシュド / 2) タンザニア キリマンジャロ AA(ウォッシュド) / 3) コスタリカ タラス
まずは、果実のような明るさや透明感を楽しみたい人向けの3豆です。どれも「酸っぱい」のではなく、輪郭のある酸が味を引き締めるタイプだと捉えると選べます。
1. エチオピア イルガチェフェ G1 ウォッシュド
産地はエチオピアのイルガチェフェ地区、精製はウォッシュドです。相性の良い焙煎度は浅煎り〜中煎り。味の5要素で見ると、酸味は高め、甘味は中程度、苦味は低め、コクは軽やか、香りは非常に華やかです。主なフレーバーノートは青リンゴ、ジャスミン、ピーチ、レモンティー。ブラックで飲むと、この豆の魅力がいちばん素直に出ます。浅めのイルガチェフェは湯温を高くしすぎると香りが先に立ち、少し落ち着かせると甘さと質感がまとまりやすいです。好みが分かれる点は、深いコクや重さを期待すると少し軽く感じやすいところです。
2. タンザニア キリマンジャロ AA(ウォッシュド)
なお、一例として CAMBLEM の販売ページ(確認日: 2026-03-14)では 100g = ¥870 と記載されています。価格はロットや時期、販売形態で変動するため、あくまで掲載時点の一例としてご参照ください。
3. コスタリカ タラス
産地はコスタリカのタラス地域、精製はウォッシュドが代表的です。相性の良い焙煎度は中煎り〜中深煎り。味の5要素は、酸味は中〜やや高め、甘味は高め、苦味は低〜中、コクは中程度、香りはクリーンで上品です。フレーバーノートはアプリコット、リンゴ、ライム、ナッツ、ブラウンシュガー。酸味タイプの中ではやや丸みがあり、柑橘だけでなく甘さも拾いやすいので、酸味に慣れていない人でも入りやすい一杯です。向く飲み方はブラック中心ですが、温度が少し下がってから甘さが見えやすい豆でもあります。好みが分かれる点は、ナチュラル系のような派手な果実感を期待すると、やや整いすぎて感じることです。
華やか系(フローラル・ベリー): 4) エチオピア イルガチェフェ G1 ナチュラル / 5) ケニア AA / 6) ルワンダ
ここは、香りの立ち上がりで「おっ」と感じたい人向けです。ベリー、花、完熟果実の印象が前に出やすく、香りのドラマ性が魅力になります。
4. エチオピア イルガチェフェ G1 ナチュラル
産地はイルガチェフェ、精製はナチュラルです。焙煎度は浅煎り〜中煎りが鉄板。味の5要素は、酸味は中〜高、甘味は高い、苦味は低い、コクは中程度、香りは非常に強いです。主なフレーバーノートはイチゴジャム、ブルーベリー、ハニー、ライチ、ピーチ、フローラル。カップに鼻を近づけた瞬間、ベリーの甘い香りがふっと立つロットもあり、華やか系の代表格といえます。ブラックで香りを追う飲み方が最適です。100gでおよそ8〜10杯と考えると、少量パックで買って香りが高いうちに楽しむ豆、という位置づけがしっくりきます。好みが分かれる点は、ナチュラル特有の発酵感や濃い果実感を「個性」と感じるか「やりすぎ」と感じるかです。
5. ケニア AA
産地はケニアの高地、精製は主にウォッシュド。焙煎は浅煎り〜中煎りが向きます。味の5要素は、酸味は高め、甘味は中〜高、苦味は低〜中、コクは中程度、香りは鮮烈です。フレーバーノートはカシス、ベリー、シトラス、ワイン感。この豆の酸はイルガチェフェの花っぽさとは少し違い、もっと濃く、黒い果実の方向に寄ります。ハンドドリップのブラックでは、冷めるにつれてカシス感がぐっと見えやすくなるのが面白いところです。好みが分かれる点は、酸と果実感が力強く、穏やかなコーヒーを求める人には少し派手に映ることです。
6. ルワンダ
産地はルワンダの丘陵地帯、ブルボン系品種が中心で、精製はウォッシュドが主流です。相性の良い焙煎度は浅煎り〜中煎り。味の5要素は、酸味は中〜やや高、甘味は高め、苦味は低め、コクは中程度、香りはやわらかく上品です。フレーバーノートはマンダリン、アプリコット、ブラウンシュガー、シトリック。ケニアほど鋭くなく、イルガチェフェほど花が先行しすぎず、その中間にあるような華やかさがあります。向く飲み方はブラックのドリップで、派手すぎないフルーティさをじっくり楽しむ形です。好みが分かれる点は、強烈な個性を期待すると少し穏やかに感じることです。ただ、この穏やかさがルワンダの良さでもあります。
バランスタイプ(毎日の定番): 7) ブラジル サントス No.2(主にナチュラル) / 8) コロンビア スプレモ(ウォッシュド) / 9) ブルーマウンテン系
毎日飲んでも疲れにくく、豆の個性と飲みやすさの釣り合いが取りやすい3タイプです。最初の1袋としても入りやすい顔ぶれです。
7. ブラジル サントス No.2(主にナチュラル)
産地はブラジル、サントス港由来の流通名で、精製はナチュラルやパルプドナチュラルが中心です。焙煎は中煎り〜中深煎りが合います。味の5要素は、酸味は低〜中、甘味は高め、苦味は中程度、コクは中程度、香りは穏やか。フレーバーノートはナッツ、キャラメル、チョコレート。尖ったところが少なく、毎朝の1杯に置いたときの安心感が強い豆です。ブラックでも飲みやすく、少量のミルクを入れても崩れません。好みが分かれる点は、華やかな香りや鮮烈な果実感を求めると少しおとなしく映ることです。
8. コロンビア スプレモ(ウォッシュド)
産地はコロンビア各地、精製はウォッシュドが一般的です。向く焙煎度は中煎り〜中深煎り。味の5要素は、酸味は中程度、甘味は高め、苦味は中程度、コクは中〜やや高、香りは上品です。フレーバーノートはナッツ、チョコレート、やわらかな酸、穏やかな果実感。ブラジルより少し酸があり、輪郭が明瞭なので、定番っぽいのに単調になりにくいのが強みです。向く飲み方はブラック全般で、食事中にも合わせやすいです。好みが分かれる点は、ブラジルのような丸さを期待するとややシャープ、逆にアフリカ系の華やかさを期待すると少し落ち着いて感じることです。
9. ブルーマウンテン系
なお、国内流通の一例として my-best 等の価格比較ページ(確認日: 2026-03-14)では 100gあたり約¥2,376 としてまとめられている例があります。価格は時期や流通先で変動するため、目安としてご覧ください。
甘味重視タイプ(まろやか・黒糖/蜂蜜): 10) コスタリカ ハニー(イエロー/レッド) / 11) エルサルバドル パカマラ(ハニー/ナチュラル) / 12) グアテマラ アンティグア
酸や苦味の主張よりも、舌の上に残る甘さや丸みを重視したいときに相性がいい3豆です。ここは「派手さ」より余韻の心地よさに価値があります。
10. コスタリカ ハニー(イエロー/レッド)
産地はコスタリカ、精製はハニープロセスです。イエローは比較的クリア、レッドはより濃厚という傾向があり、焙煎は中煎り〜中深煎りがまとまりやすいです。味の5要素は、酸味は中程度、甘味は高い、苦味は低〜中、コクは中〜やや高、香りは甘くフルーティです。フレーバーノートは蜂蜜、ブラウンシュガー、熟した果実、やわらかなナッツ。ブラックで飲むと、舌の真ん中あたりにとろっとした甘さが残りやすく、ウォッシュドよりも表情がふくよかです。好みが分かれる点は、透明感を最優先する人には少し粘性を感じやすいところです。
11. エルサルバドル パカマラ(ハニー/ナチュラル)
産地はエルサルバドル、品種はパカマラ、精製はハニーまたはナチュラルの流通例があります。焙煎は中浅煎り〜中煎りが好相性です。味の5要素は、酸味は中程度、甘味は高い、苦味は低め、コクは中〜高、香りは個性的で厚みがあります。フレーバーノートはトロピカルフルーツ、クリーミーさ、甘いスパイス、熟果実。パカマラは粒が大きく、香味も立体的で、口に含んだときのスケール感があります。向く飲み方はブラックで、少し温度が下がってからの複雑な甘さも楽しい豆です。好みが分かれる点は、品種由来の個性がはっきりしていて、定番的な穏やかさとは別方向にあることです。
12. グアテマラ アンティグア
産地は火山に囲まれたアンティグア地域、精製はウォッシュドが中心です。焙煎は中煎りが特に扱いやすいです。味の5要素は、酸味は中程度、甘味は高め、苦味は中程度、コクは中〜やや高、香りは落ち着いて豊か。フレーバーノートはチョコレート、ナッツ、トフィー、スパイス。黒糖や焼き菓子に近い甘さが見えやすく、甘味重視タイプの中でも「お菓子っぽい」方向に寄ります。ブラックはもちろん、軽くミルクを入れても輪郭が残りやすいです。好みが分かれる点は、果実の派手さを求めるとややクラシックに感じることです。
苦味・コクタイプ(ミルクとも好相性): 13) インドネシア スマトラ マンデリン(スマトラ式) / 14) 深煎りブラジル(フレンチロースト) / 15) アジア系ブレンド
ここは、しっかりした苦味、厚いボディ、ミルクに負けない強さが欲しい人に向くゾーンです。重さがあるのに、豆の選び方で後味の質は大きく変わります。
13. インドネシア スマトラ マンデリン(スマトラ式)
一例として Santos-coffee の販売ページ(確認日: 2026-03-14)では 100g = ¥530 と掲載されています。実際の販売価格は変動しますので、最新情報は各販売ページでご確認ください。
14. 深煎りブラジル(フレンチロースト)
一例として澤井コーヒー本店の販売ページ(確認日: 2026-03-14)では 150g = ¥1,190 と記載されています。価格は時期や流通により変動するので、あくまで参考値として扱ってください。
15. アジア系ブレンド
アジア系の深煎り豆をベースに、少量のロブスタを含む設計も多いタイプです。産地は単一ではなくブレンド、精製も構成豆によります。向く焙煎度は中深煎り〜深煎り。味の5要素は、酸味は低い、甘味は中程度、苦味は高い、コクは非常に高い、香りは香ばしく力強いです。フレーバーノートはビターチョコ、ローストナッツ、スパイス、厚いボディ。エスプレッソやミルク系との相性が良く、ロブスタが入ることでクレマや押し出しの強さも出やすいです。向く飲み方はエスプレッソ、カフェラテ、モカポット系。好みが分かれる点は、クリーンで繊細なシングルオリジンの方向とは真逆にあり、香りの透明感よりも密度を楽しむ豆だということです。
TIP
迷ったら、香りを楽しみたいなら華やか系、毎日飲むならバランスタイプ、ミルクを入れるなら苦味・コクタイプという切り分けがいちばん実用的です。筆者なら最初の基準豆はブラジル サントス No.2かコロンビア スプレモ、その次にイルガチェフェのウォッシュドかナチュラルへ広げます。
迷ったらこの3レシピ。味タイプ別の淹れ方
ここでは、豆15g / 湯量240ml前後 / 抽出3:00〜3:30 / 中挽きを起点にそろえます。比率で見ると約1:16で、家庭用のハンドドリップとして扱いやすい設計です。『D.S COFFEE ROASTER』が示す焙煎度別の湯温目安とも整合しやすく、浅めは高め、中深煎り〜深煎りはやや低めに置くと味の方向が作りやすくなります。同じ豆量と湯量でも湯温を上げると香りは鮮明になり、苦味も前に出やすいです。反対に温度を下げると酸の輪郭が見えやすくなり、軽さやシャープさが残りやすくなります。
レシピA(フルーティ系): 豆15g / 240ml / 95℃ / 3:10 / 中細挽き
浅煎り〜中浅煎りのイルガチェフェ G1 ウォッシュド、イルガチェフェ G1 ナチュラル、ケニア AAのように、香りの高さと果実感を主役にしたい豆に向くレシピです。95℃まで上げる理由は、浅めの焙煎が持つ密度の高い酸と香りをしっかり開かせたいからです。ここで温度が低すぎると、フローラルさよりも「酸っぱいだけ」に寄りやすく、甘さの芯まで届きにくくなります。
抽出の組み立ては、前半を細めの注湯で進めるのがコツです。最初に少量のお湯で全体を湿らせ、その後は中心寄りに細く落として、粉の表面を大きく暴れさせないように進めると、ジャスミンやレモンティーのような抜けの良い香りが出やすくなります。後半で一気に注ぐと輪郭がぼやけやすいので、香りを取りたい豆ほど前半の注ぎ方が効きます。
このレシピは、イルガチェフェのウォッシュドなら青リンゴ、レモン、白い花の方向、ナチュラルならベリー、ライチ、ハニー感が見えやすいです。筆者は浅煎りで勢いを出したい朝には95℃を選びますが、同じ豆でも甘さを太くしたいときは少し温度を落とすことがあります。95℃は「香りをつかみにいく」設定として、とてもわかりやすい基準です。
レシピB(バランス系): 豆15g / 240ml / 92℃ / 3:20 / 中挽き
ブラジル サントス No.2、コロンビア スプレモ、グアテマラ アンティグア、あるいは日常使いのブレンドに合わせやすい、いちばん基準にしやすいレシピです。中煎りの豆は酸味・甘味・コクの中心が取りやすいので、迷ったらまずここから始めると味のズレが小さくなります。湯温は92℃に置くと、香ばしさだけに寄らず、ナッツやキャラメル、黒糖っぽい甘さがまとまりできます。
注湯は3投くらいの安定設計が扱いやすいです。前半でしっかり粉全体を開かせ、中盤で液量を稼ぎ、後半はペースを上げすぎずに着地させるイメージです。中挽き・92℃・3:20前後の組み合わせは、雑味を増やしにくく、それでいて薄さにも振れにくいので、毎日飲む一杯として非常に再現性があります。
味の出方としては、ブラジルならローストナッツやキャラメル、コロンビアならやわらかな酸とチョコ感、アンティグアならトフィーやスパイスの落ち着いた甘さが見えやすくなります。もし少し重いと感じたら挽き目をわずかに粗く、逆に物足りなければ中挽きの範囲で少しだけ細かくする、という順番が整えやすいです。基準レシピとして優秀なのは、こうした微調整が素直に味へ返ってくるからです。
レシピC(深煎り・コク系): 豆15g / 240ml / 89℃ / 3:00 / 中細〜細挽き
マンデリン、深煎りブラジル、アジア系の深煎りブレンドのように、苦味とコクを出しつつ、えぐさは抑えたい豆に合わせるレシピです。深煎りで湯温を高くしすぎると、ロースト由来の苦味が先に立って、後味が乾いた印象になりやすいです。そこで89℃まで下げ、抽出時間も3:00で切ることで、甘苦いバランスを残しやすくなります。
挽き目は中細〜細挽き寄りにしますが、狙いは濃くすることよりも、短い時間で必要な成分を取り切ることです。深煎りは溶けやすいので、長く引っ張るより、少し細かくして短くまとめたほうが味が整います。注湯も必要以上に攪拌せず、湯面を大きく上下させないほうが、ダークチョコやローストナッツの質感がきれいに残ります。
この設計だと、マンデリンはアーシーさとスパイス感、深煎りブラジルはカラメルとビターチョコ、アジア系ブレンドは厚いボディと力強い香ばしさが出しやすいです。ミルクを入れても輪郭が残りやすく、しかも苦味だけが突出しにくいので、重さは欲しいけれど雑に苦い一杯にはしたくない、という場面で使いやすいレシピです。
TIP
まずは3レシピのどれかに豆を当てはめて、動かすのは湯温か挽き目のどちらか一方だけにすると、味の変化がつかみやすいです。フルーティ系で苦味が先行したら温度を少し下げる、深煎りで酸が浮いたら温度を少し上げるより先に挽き目を見直す、という順番だと再現しやすくなります。
同じ豆でも味が変わる。湯温と挽き目の調整早見表
味が酸っぱい→湯温/挽き目/時間のどれを動かすか
同じ豆でも、「酸味がきれい」なのか「ただ酸っぱい」のかは、抽出条件で大きく変わります。ここで大事なのは、豆そのものを失敗扱いしないことです。浅煎りのイルガチェフェ G1 ウォッシュドやケニア AAのような豆は、もともと明るい酸を持っていますが、出し方が合うと青リンゴやシトラス、白い花のような印象にまとまります。逆に抽出が浅いと、甘さが開く前に酸だけが前に出ます。
基準にしやすいのは中挽きです。挽き目は、粗挽きならすっきり、細挽きなら濃く苦味寄り、中挽きはバランス型と覚えておくとです。UCCの挽き目解説とも一致しますが、初心者ほど極端に振らず、中挽きから1クリックずつ動かすほうが味の因果関係を追いやすくなります。
湯温は焙煎度で軸を決めると迷いません。目安は浅煎り95℃、中煎り92℃、中深煎り90℃、深煎り88℃です。浅煎りは高め、中深煎り〜深煎りは低めに置くと、豆の個性が出やすくなります。筆者の実感でも、90℃は甘さが見えやすく、95℃は香りと苦味が強まりやすいです。酸っぱさを減らしたいからといって、浅煎りをいきなり低温に振ると、今度は芯のある甘さまで出にくくなることがあります。
味の症状ごとに動かす場所を整理すると、次の表が使い勝手が良いです。
| 味の症状 | まず動かす項目 | 動かし方 | 期待しやすい変化 |
|---|---|---|---|
| 酸っぱい | 挽き目 | 中挽きから1クリック細かくする | 甘さと濃度が乗りやすい |
| 酸っぱい | 抽出時間 | 少し長めに取る | 出不足感が減って輪郭が整う |
| 酸っぱい | 湯温 | 焙煎度の目安内で少し上げる | 香りと抽出効率が上がる |
| 酸はあるが軽すぎる | 豆量 | 少し増やす | 水っぽさが減って芯が出る |
| 酸は良いが尖る | 湯温 | 少し下げる | 刺さる感じがやわらぐ |
D.S COFFEE ROASTERが示す焙煎度別の温度設計も、この考え方と相性がいいです。浅煎りなのに低温すぎる、あるいは粗すぎる設定では、果実感の前に未完成な酸が出やすいからです。筆者はV60でイルガチェフェを淹れるとき、粗挽きに1段階振っただけで、同じ豆が紅茶のように軽やかに変わった経験があります。調整幅は小さくても、味の景色は驚くほど変わります。
味が苦い→過抽出の見極めと対処
苦いと感じたときは、まず「深煎りらしい苦味」なのか、「取りすぎた苦味」なのかを分けて考えると迷いません。マンデリンや深煎りブラジル、アジア系深煎りブレンドには、ダークチョコやローストナッツのような苦味が元からあります。ただし、そこに舌に残る渋さや、飲んだあと口の中が乾くような重さまで乗ってくるなら、過抽出の可能性が高いです。
このとき動かしやすいのは、挽き目を少し粗くする、湯温を少し下げる、時間を引っ張りすぎないの3つです。粗挽きはすっきり方向へ、中挽きは基準、細挽きは濃く苦味寄りへ向かいます。深煎りで細かすぎる設定にすると、必要な成分を取り切ったあとも苦味成分を拾いやすくなります。中挽き付近に戻すだけで、後味が急に整うことは珍しくありません。
湯温も効きます。すでに触れた通り、95℃は香りと苦味が強まりやすく、90℃は甘さが見えやすい温度帯です。深煎りを高温で攻めると、香ばしさは立つ反面、ロースト由来の苦味が先頭に出やすいです。そこで深煎りは88℃、中深煎りは90℃を軸にすると、コクを残しながら暴れにくくなります。浅煎りは高め、深煎りは低めという基本は、こういう場面で効いてきます。
| 味の症状 | まず動かす項目 | 動かし方 | 期待しやすい変化 |
|---|---|---|---|
| 苦い | 挽き目 | 1クリック粗くする | 抜けが良くなり、重さが減る |
| 苦い | 湯温 | 少し下げる | 苦味の角がやわらぐ |
| 苦い | 抽出時間 | 短めにまとめる | えぐみ、渋みを抑えやすい |
| 苦いのに香りも弱い | 注湯テンポ | 後半をだらだら引っ張らない | 香りを残しつつ雑味を抑えやすい |
筆者が深煎りブラジルを触るときは、苦味を消すというより、苦味の質を丸くするつもりで調整します。うまくはまると、ただ苦いのではなく、ビターチョコのような甘苦さに寄っていきます。豆が悪いのではなく、取り方が少し強すぎただけ、というケースは相当多いです。
味が薄い/濃い→豆量・注湯テンポの見直し
味が薄い、あるいは濃すぎるときは、湯温や挽き目だけで片づけず、豆量と注湯テンポも一緒に見たほうが早く整います。コーヒーは抽出の強さだけでなく、そもそもの濃度設計でも印象が変わるからです。豆が良いのに物足りない一杯になるときは、抽出不足より先に、単純に濃度が足りていないことがあります。
中挽きはやはり基準として優秀です。そこから味が薄いなら豆量を少し増やすか、注湯を急ぎすぎていないかを見る。反対に濃いなら豆量を少し減らすか、後半の注ぎを詰めすぎていないかを見ると整理できます。勢いよく注いで短時間で落とし切ると、見た目の液量は取れても、中身が軽く感じることがあります。逆に細く遅く注ぎ続けると、濃度は上がっても重たさが出やすいです。
| 味の症状 | まず動かす項目 | 動かし方 | 期待しやすい変化 |
|---|---|---|---|
| 薄い | 豆量 | 少し増やす | 味の芯と厚みが出る |
| 薄い | 注湯テンポ | 速すぎる注ぎを抑える | 成分が乗りやすくなる |
| 薄い | 挽き目 | 1クリック細かくする | 濃度感が出やすい |
| 濃い | 豆量 | 少し減らす | 飲みやすさが戻る |
| 濃い | 注湯テンポ | 遅すぎる注ぎを見直す | 重たさや詰まり感が減る |
| 濃い | 挽き目 | 1クリック粗くする | 後味が軽くなる |
この調整は、産地の個性を残したまま好みに寄せられるのが面白いところです。たとえばブラジル サントス No.2やコロンビア スプレモの中煎りなら、中挽きを基準に豆量を少し触るだけで、ナッツ感を太くも軽くもできます。イルガチェフェ G1 ナチュラルのような華やかな豆でも、挽き目を少し粗くして注湯を穏やかにすると、果実感を残しながら軽やかに着地します。豆の良し悪しではなく、どこを動かせば自分の好みに近づくかが見えてくると、1袋を最後まで前向きに楽しめます。
初心者が失敗しにくい買い方・保存方法
店頭での伝え方テンプレート
最初の1袋は、中煎りのバランスタイプか、その店の定番ブレンドから入るのが失敗しにくいです。理由は、酸味・甘さ・コクの重心が極端に振れにくく、淹れ方のズレも吸収しやすいからです。ブラジル サントス No.2やコロンビア スプレモ系の穏やかな中煎り、あるいはハウスブレンドは、毎日の基準点を作るのに向いています。筆者も初回でいきなり個性の強いナチュラルや浅煎りに飛び込むより、まずは「自分はどの方向が好きか」を見極めやすい豆を1本持つほうが、次の買い物がぐっと楽になると感じます。
店頭では、気後れせずに好み・飲み方・器具を具体的に伝えると、提案の精度が一気に上がります。短く言うなら、次の形で十分です。
「酸味は強すぎないほうが好きで、甘さと香りはほしいです。ブラック中心ですが、たまにミルクも入れます。器具はハンドドリップで、1日2杯くらい。予算はこのくらいで、中煎り寄りを探しています」
この一言の中に、店員が選定しやすい材料が入っています。とくに伝えておきたいのは、好み(酸・苦・甘・香り・コク)、飲み方(ブラックかミルク入りか)、器具、1日の杯数、予算です。たとえばミルクを入れる前提なら、マンデリンや深煎りブラジルのようなコク寄りも候補になりますし、ブラック中心ならグアテマラ アンティグアや店の中煎りブレンドのほうが着地しやすいです。器具も大事で、ハンドドリップなら中挽きを基準にしやすく、エスプレッソ系なら求める味の密度が変わります。
もうひとつ、初心者ほど見逃したくないのが焙煎日です。阪急の保存ガイドでも、香味のピークをつかみやすい目安として焙煎後2週間以内が挙げられています。店頭で袋を見るときは、銘柄名より先に焙煎日の記載を見たほうが、満足度に直結しやすいです。筆者は味の説明が魅力的でも、焙煎日の新しい定番ブレンドが並んでいたら、まずそちらを軸に考えます。派手さはなくても、香りの立ち方と飲み疲れしにくさが安定しやすいからです。
TIP
迷ったときは「店の定番で、ブラックでもミルクでもいける中煎りを100gか200gで」と伝えると、外しにくいです。100gならおよそ8〜10杯分なので、好みの確認にも向いています。
保存の基本と期間別ベストプラクティス
買った直後の満足度を保つには、保存の考え方がとても重要です。基本はシンプルで、開封後は密閉・遮光・低湿度です。コーヒー豆は香りが魅力ですが、同時に香りが抜けやすい食品でもあります。透明な袋のまま光が当たる場所に置いたり、シンク周りの湿気が多い場所に置いたりすると、後半で印象が鈍りやすくなります。
期間で分けると、使い分けは整理できます。すぐ飲み切る量は常温、少し長く持たせたいなら冷蔵より冷凍、という考え方が扱いやすいです。常温保存は、密閉できる容器やジッパー袋に入れ、光の当たらない乾いた場所に置く形が基本です。毎日使う分をここに置き、開け閉めの回数を最小限にすると香りが残りやすくなります。
冷蔵は一見よさそうに見えますが、出し入れのたびに温度差の影響を受けやすく、運用はやや難しめです。長めに持たせたいなら、小分けして冷凍のほうが無難です。阪急の冷凍保存の考え方とも重なりますが、使う単位に分けて凍らせ、使う分だけ常温に戻してから開封すると、結露のリスクを抑えやすいです。冷凍庫から出した直後に袋を開けると、表面に湿気を呼び込みやすいので、ここは丁寧に扱う価値があります。
筆者は200gを50g×4袋に分けて冷凍し、1袋ずつ常温に戻してから挽く運用に落ち着きました。このやり方だと、後半の袋でも香りの落ち方が緩やかで、味のブレが小さく感じます。とくにイルガチェフェ G1 ナチュラルのように香りが命の豆では、この差がわかりやすいです。開封回数が減るだけで、ベリー感やフローラルさの残り方が大きく変わります。
保存方法をざっくり分けると、こんな整理です。
| 保存場所 | 向くケース | ポイント |
|---|---|---|
| 常温 | 早めに使う分 | 密閉・遮光・低湿度を徹底し、開閉回数を減らす |
| 冷蔵 | 置き場所の都合で常温が難しい場合 | 出し入れ時の温度差に注意し、頻繁な開閉は避けたい |
| 冷凍 | 長めに保存したい分 | 小分けして保管し、使う前は常温復帰してから開封する |
豆の量も保存性に関わります。100gは扱いやすく、毎日飲むなら比較的回転が早いので、鮮度管理がしやすいサイズです。500gのような大袋は割安感があっても、開封後の管理が難しくなります。最初のうちは、飲み切りやすい量で複数回試すほうが、結果的に失敗が少なくなります。
小話:価格上昇期の“賢い初手”
ここ数年は、豆選びに「味」だけでなく「相場」もじわじわ効いています。『Il Mio Roastery』がまとめた2025年5月時点の数字では、アラビカ価格が9.01 USD/kg、前年同月比で+82%まで上がりました。高価格帯の豆が目立ちやすくなるのも自然ですし、PR TIMESで公開されたコーヒー豆研究所の2025年上半期動向でも、販売現場での選ばれ方に変化が出ている様子が見えます。
こういう時期こそ、最初の1袋をハウスブレンドや定番ブレンドに置くのは十分合理的です。ブレンドは単に「無難」なのではなく、店側が日常使いしやすい味の軸として設計していることが多く、価格と味のバランスが取りやすいからです。高価なシングルオリジンをいきなり選ぶより、まずは基準になる味を1本持つ。そのうえで「もう少し華やかにしたい」「もう少し苦味と厚みがほしい」と広げるほうが、買い物の精度が上がります。
たとえば、基準を店の中煎りブレンドに置いておけば、次にイルガチェフェ G1 ウォッシュドを飲んだときに「香りは好きだが酸はもう少し丸いほうがいい」、マンデリンを飲んだときに「コクは好きだがもう少し軽さがほしい」と比較できます。味の軸がないまま高価格帯を渡り歩くと、満足したのか、単に珍しさを楽しんだのかが曖昧になりできます。
なお、価格や在庫の動きは段違いに速いので、ここでの役割はあくまで味傾向のガイドです。銘柄名より先に、自分の基準点をどこに置くか。そこが定まると、値上がり局面でも選び方はぶれにくくなります。

2025年 世界のコーヒー価格の現状とその要因
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ilmiioroastery.comまとめ:あなたに合う一杯は、このタイプから
選ぶ順番だけ押さえれば、最初の1袋は当てやすくなります。迷ったら中煎りのバランス系、たとえばブラジル サントス No.2やコロンビア スプレモ、店の定番ブレンドから入り、そこを基準点にしてください。そこから、明るい香りが欲しければイルガチェフェ G1 ウォッシュドやケニア AAの方向へ、厚みと苦味が欲しければマンデリンや深煎りブラジルへ寄せると、次の一杯が選びやすくなります。筆者は好みを酸味・苦味・甘さ・香り・後味の5要素で書き出すだけで、次に買う豆のミスマッチが目に見えて減りました。
次にやることはシンプルです。
- 好みを5要素でメモする
- 最初はバランス系か定番ブレンドを選ぶ
- 気に入った豆を90℃と92℃で飲み比べ、続けて同産地の精製違い、または同じ豆の焙煎違いまで試し、抽出条件と味をコーヒーノートに残す
焙煎度の考え方、産地ごとの違い、保存の整え方、シングルオリジンとブレンドの選び分けもあわせて読むと、豆選びの精度はさらに上がります。→ 関連: シングルオリジンとブレンドの違いと選び方 → 関連: コーヒー豆の産地比較と選び方 → 関連: コーヒー豆の選び方ガイド
自家焙煎歴12年。生豆の仕入れから焙煎プロファイル設計、抽出レシピの検証まで一貫して自分の手で行う。コーヒーインストラクター2級取得。年間200種以上の豆をカッピングし、再現性にこだわるレシピをお届けします。
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